輝き
輝きとは
輝きとは、ワインがどれだけ光を反射しているかを表す尺度です。
清澄度と一緒にワインの品質評価に使われる項目であり、基本的に清澄度が高いほどワインの輝きは増します。ワイン中の沈殿物はワインの清澄度を下げるとともに、光を吸収しワインの光の反率を下げます。沈殿物がない清澄度の高いワインほど、ワインは輝くのです。
清澄度とよく混同されますが、清澄度は単純にワインがどれだけ澄んでいるかのみの指標であるのに対して、輝きは透明度に加え色の明るさ等も関係してきます。
また赤ワインは、アントシアニンなどの色素が光をよく吸収してしまうため、一般的に白ワインより輝きは低くなります。
輝きと酸度の関係
さて、ワインの輝きは何を示すのでしょうか。
ワインの輝きは、清澄度の項目と共にワイン中の沈殿物の少なさを表す指標であることは間違いありません。輝きのあるワインは必ずと言っていいほど澄んでいます。
問題は、輝きは他の要因で強まるのか否かです。
ソムリエ教本などにも記載されていますが、輝きは酸度に比例するとよく言われます。酸度の高いワインほど、ワインの輝きは増してゆくと言われています。
しかし、直感的には酸度と輝きには一見関係性がないように感じます。果たして、酸度が高いとワインの輝きは増すのでしょうか?
ワインの酸度と外観の明度の関係
酸度が輝きに影響を示すかより前に、酸度がワインの外観に与える影響を考えていきましょう。
ワインの酸度と外観の関係でよく知られているのが、酸度と赤ワインの色の関係です。
酸度と赤ワインの色の鮮やかさは比例関係にあるとされています。pHが低い、つまり酸度が高い赤ワインほど明るい赤色を示し、pHが高い、つまり酸度が低い赤ワインほど紫や青色を示すことが知られています。これはワイン(pH3~5)に少しずつ水(pH=7)を入れるとわかります。酸度の高い色の鮮やかな赤色を呈す赤ワインに水を入れてゆくと、鮮やかな赤色からくすんだ紫や青色に変化していく様を見ることができます。
赤ワインと同様に、白ワインも酸度が高いほど明るい黄色を示し、中性に近づくほど褐色を示すようになります。
このことから、酸度が高ければワインの色調は明るくなるということがわかると思います。酸度がワインの外観に与える大きな影響の一つです。
酸度が高いと輝きは増す?
それでは、色の鮮やかさと輝き、つまり光の反射率に関係はあるのでしょうか。
物質はその色に応じて光の反射能を変えることが知られています。
物質の色が白ければ白いほど光をよく反射します。一面真っ白な雪山が、目が痛くなるほど眩しいのは、これが原因です。
色が白ければ白いほど、つまり明度が高ければ高いほど光をよく反射するのです。
このように、輝きと色調は切っても切り離せない関係なのです。
このことから、酸度が高ければワインの色調は明るくなり、光をよく反射し輝きが増すというのは物理学的には正しいと思われます。
ただ、酸度がどの程度輝きに寄与しているのかは、定量的にはまだ十分に解明されたとは言えません。
個人的には、多少の寄与はあるものの、ワインの明度はワインの輝きを大きく変えることはないと思っていますので、ワインの輝きは清澄度にのみ比例すると考えても差し支えないと考えます。
果たしてワインの酸度は本当に輝きに識別可能な形で影響を与えるのか、この問いへの明確な答えを述べるのは今後の研究成果を待ってからにしようと思います。
輝きの表現
ソムリエ・ワインエキスパート試験において、輝きを表現する単語として以下が挙げられています。
- 輝きのある
- 落ち着いた
- モヤがかかった
近年のソムリエ・ワインエキスパート試験においては、白ワインは今まで「輝きのある」しか模範解答として選ばれていません。
そのため白ワインの場合は、輝きは「輝きのある」を選んでおくのが無難です。
また赤ワインも、別解として「落ち着いた」が選ばれることもありますが、近年では全てのアイテムにおいて「輝きのある」が模範解答として選ばれています。このため、赤ワインにおいても「輝きのある」を選ぶのが無難です。
「モヤがかかった」は、色素が強く輝きがあまり感じられない場合に使用されます。ソムリエ・ワインエキスパート試験においてはあまり使用されません。
Bolla Soave Classico
イタリア、ヴェネト州のソアーヴェ・クラシコです。ガルガネガ種で作られるこのDOCには、ソアーヴェとソアーヴェ・クラシコがあります。ソアーヴェは広域で作られる早飲みタイプのワインが多いのに対し、ソアーヴェ・クラシコは限定されたエリアで作られる熟成可能なポテンシャルのあるワインが作られます。
外観は淡いゴールドで、輝きを強く感じます。まさに「輝きのある」外観です。香りは、熟したリンゴや白桃の果実のアロマに、花の蜜や濡れた石のようなミネラル感が漂う、豊かで深みを感じます。ソアーヴェとは一線を画しています。ファーストタッチはスムース。ほのかな苦味を伴った果実感は、口の中で厚みを感じさせます。蜜の風味を残したきれいな余韻が楽しめます。
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