ワインと学ぶ世界史
ワイン―これほどまでに人類の歴史に密接に関わってきた飲料は他にないだろう。
古来から人々はずっとワインを造り、飲んできた。最も、ワインの作り方や飲み方などは時代を通じて大きく変わってきた。ときには生活に欠かせない飲料として、ときには現実を忘れ快楽にふけるものとして、ときには様々な病を癒す治癒薬として、ときには王や神に献じるものとして、そしてときには神との契約の証として、ワインは人類の歴史に様々な表情で出没する。長い歴史のなかでかように多面的に親しまれてきた飲料は他に例を見ない。
繰り返すが、人類は古来からずっとワインを飲んできた。長い歴史の中で紆余曲折はあったものの、人類の歴史に寄り添いながらワインは紛れもなく発展していった。我々が学生の頃に学んだ歴史上の偉人も、その歴史の裏でワインを飲んでいた。歴史的事件とワインが密接に関わっているケースもある。人類の歴史はワインとともにあったのだが、私たちはそのことを教育の場で学んでいない。
しかしワインの歴史を学ぶことは、ワインを楽しむ上で、そして世界史を学び直す上でとてもよい契機であることは間違いない。現在のワインの文化や地勢は、人類の長い歴史の中で決定づけられているからである。なぜフランスはワイン大国なのか、なぜワインが世界中で飲まれているのか、このような疑問はワインの歴史を学ぶことで見えてくる。またワインの歴史を学ぶことにより、世界の歴史や現代の西洋世界への理解が深まるはずである。
このサイトでは、高等教育レベルの世界史を振り返りながら、ワインがどのように歴史に関わり発展してきたかを概説する。世界史を学びなおしながら、ワインをより楽しめるようになるきっかけになれれば幸いである。
ワインと共に振り返る大人の世界史講座へようこそ。
Contents
- 古代オリエント史とワイン
- 古代西洋史とワイン